認知神経科学とは

認知神経科学についてご紹介します.

「認知神経科学とは何か」

 認知神経科学とは、主にヒトの知の働きを神経系の働きに基づいて解明しようとする学問領域です。知の働きとは、記憶、言語、感情などの高次精神活動を指します。ただ知の働きを解明することは容易なことではありません。何千年もの間かかって、まだその解明の端緒についたところとも言えます。

 認知神経科学ということが指す範囲は必ずしも明確ではありません。例えば似た用語に認知神経心理学があります。まず神経心理学は、脳の損傷によってどのようにヒトの行動が障害されるのかを研究する領域と言えます。認知神経心理学とは、このヒトの脳損傷例の研究から健常者の知の働きを解明することに重点を置く領域を指します。認知神経科学について言えば、認知神経心理学などを専門とする人達が、神経科学の力を借りて、もっと言えば自分達のしていることに科学的な装いを身につけようとして、その用語を用いるようになったとも言えます。脳構造を調べる画像の進歩や、PET, fMRIなどの脳機能画像の進歩がその動きを進めてきたのです。

 ただ認知神経科学の基礎はまだ危ういのではないかとも私は思っています。脳機能画像には、例えば現代の骨相学であるという批判もあります。神経心理学が教える巣症状の知見、長年の歴史を持つヒトや動物を対象とする心理学の考え方、脳の生理学的な機能を解明する神経科学、さらに言語学、哲学などにもっと目を配ることが必要です。それらの学問の裏付けを得ながら、手にいれた新しい武器を使い、今後認知神経科学は進んでいく必要があります。